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ないなら作る!パパママたちのチャレンジ -ココアプリ誕生秘話

皆様こんにちは。
横浜市デジタル統括本部です。
皆様が普段お使いのスマートフォンの中には様々なアプリがインストールされていると思いますが、自分が本当に必要としている機能を持ったアプリを手に入れようと思ったらどうしますか?
横浜市港北区には、デジタルの活用にあたり、単にお金を払ってツールを手に入れるのではなく、まず自分達で手を動かしてみることからはじめ、最終的に子育て支援アプリ「ココアプリ」をリリースした子育てNPOがあります。

その場所となった、港北区大倉山にある「横浜市地域子育て支援拠点どろっぷ」を運営する「NPO法人びーのびーの」の皆様にお話を伺ってきました。

「地域子育て支援拠点どろっぷ」とは
横浜市における次世代育成支援行動計画「かがやけ横浜こども青少年プラン」に位置づけられ設置された地域子育て支援拠点の第1号拠点です。
地域子育て支援拠点は、平成17年度のどろっぷ開設以降、各区に1拠点ずつ整備され、平成23年度に全区への設置が完了しました。
この事業は行政との協働事業として民設民営方式で進められ、どろっぷはその先行モデル事業として、開設以来協働の理念を大切に、地域密着型の施設運営を心がけてきました。
現在は、港北区と連携しながら、他区拠点運営法人、関係機関、子育て当事者・支援者など様々なネットワークの中で、相互に学び合える場づくりを大切にしています。

デジタルの保育園マップを自分達で作ってみよう!

デジタル統括本部(以下「デジ」):そもそもどんなキッカケでアプリ制作の取組みが始まったのでしょうか。

地域子育て支援拠点どろっぷ(以下「どろっぷ」):平成29年頃にデジタルツールを活用した情報発信をする上で、出来上がったアプリをただ利用するだけでは単に「便利だね」で終わってしまうので、アプリがどういう風に作られるのか理解した上で情報発信をした方がいいのではという話が出たのがキッカケです。
そこで札幌のシビックテック団体(※)であるCode for Sapporoが作成し、オープンソースとして公開している「さっぽろ保育園マップ」の港北区版を作ってみる活動が始まりました。
シビックテックの繋がりでICT活用をプロボノで支援してくださる方たちとの出会いがあり、勉強会や実際にデータを作りツールに反映させてみるなどの取組みを行い、「港北区保育園マップ」を公開しました。

※シビックテック
シビック(Civic:市民)とテック(Tech:テクノロジー)をかけあわせた造語で、市民自身が、テクノロジーを活用して、行政サービスの問題やや社会課題を解決する取り組みを指す。

港北区保育園マップは今でも更新・公開されています。
内部で使っているデータは年に一度ボランティアが集まって更新するのですが、マップ作りの取組みを通じて様々なつながりが生まれて、デジタル活用についてちょっと困ったことがあった時や聞きたいことがある時に気軽に聞けるネットワークが生まれたことは大きな財産でした。

その後、運用していたメーリングリストサービス「ココメール」をアプリにしようという話が持ち上がり、当時、港北区区政推進課が行っていたオープンデータ活用の取組みの中で動画配信の協力を申し出てくれていた岩崎学園情報科学専門学校の先生から「授業の中で生徒達にアプリ開発をやらせたいので組まないか。」という話になり、港北区も含めて3者協定を結んだことで「ココアプリ」構築が始まりました。
アプリ制作にあたってどういう情報が必要なのか、どういう風に活用したらいいのか、データ入力をどう効率化できるかなどの情報を集めたり、イベントやモニター使用を通じて区民ニーズや課題を探ったりしつつアプリの構築を進め、平成30年2月に港北区・岩崎学園情報科学専門学校とともにお披露目を行いました。

持続的な運用を可能にする仕組みと横展開

デジ:ダウンロード数と直近のアクセス数を教えてください。

どろっぷ:総ダウンロード数は5386DL、11月のアクセス数は104,000ページビューです。

デジ:アプリの運用負荷を軽減する工夫はありますか

どろっぷ:ココアプリに直接反映できる投稿フォームを設置し、地域ケアプラザやサークルなどの自主団体、保育園などについては、イベント情報を直接入力できるようにしています。
現在はイベント情報の半分くらいがそうした団体からの直接入力で賄われているので、入力負荷軽減の面でだいぶ助かっています。

デジ:アプリに対する周囲の反応はありましたか

どろっぷ:ココアプリができた時に「このツールがあるなら情報を載せたい」ということで子育て支援のネットワークが広がったということがありました。園庭開放情報を冊子で提供していた保育園が、冊子では年度途中で園庭開放スケジュールの変更反映が難しいとココアプリを利用してくれたり、幼稚園からも園で行うイベントの掲載依頼が来たりしています。
コロナ禍では急にイベントがなくなったり、再開し始めたりということが起こりましたが、その周知ができなくて困っていたところには、即時性のある情報提供ができるココアプリの有用性を感じていただけたかと思います。
ケアプラザのイベントが申請をWeb受付にした上でココアプリに情報を載せたことで申込数が1.5倍になったという話もありました。

地域子育て支援拠点どろっぷに設置されたピアノで遊ぶ親子
どろっぷではピアノが人気

デジ:他区の地域子育て支援拠点の反応は

どろっぷ:2年前に戸塚区の地域子育て支援拠点「とっとの芽」でもアプリをリリースしたいという話があり、ココアプリを横展開して「とっとあぷり」をリリースしました。
こちらも岩崎学園情報科学専門学校の学生さん達が構築してくれたものですが、デジタルツールは横展開が容易なことがメリットです。

地域子育て支援拠点は、どこかの拠点で便利なツールを使い始めるとほかでも使い始めるという循環があるので、より広がっていくといいと思います。

デジ:最後にひとことお願いします。

どろっぷ:地域子育て支援拠点には7つの機能がありますが、そのうちの2つである「ネットワーク事業」と「人材育成事業」にアプリ構築を通じた取組が大きく寄与してくれていて、アプリの開発をきっかけに子育て支援以外のネットワークが広がって、その関係者が生まれた子どもを連れてきてくれたりすることもあります。
現在、はじめてどろっぷに来る人向けのイベントプログラムは3割くらいの方がココアプリを見て申込みをしてくれていますし、18区の子育て支援拠点施設長は全員デジタルのコミュニケーションツールである「Slack(スラック)」を使って情報共有を行うなど、子育て中の方にも支援者側にもデジタルツールが浸透しつつありますので、今後もデジタルの力を借りて子育て支援がより広がることを期待しています。

地域子育て支援拠点が持つ7つの機能、①親子の居場所の事業、②相談事業、③子育て情報の収集発信事業、④横浜子育てサポートシステム、⑤横浜子育てパートナー(利用者支援事業)、⑥ネットワーク事業、⑦人材育成事業

デジ:より子どもを産みやすく、育てやすい環境ができることを願っています。本日はありがとうございました。

地域子育て支援拠点どろっぷで遊ぶ親子
どろっぷで遊ぶ親子

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